09-05 著者:admin
ぶらぶらと大阪・梅田の地下街を歩いていた。ふと目にしたウルトラマンショーのポスター。小学生だった私が〝本物のウルトラマン〟と出会った日が思い浮かぶ。
昭和40年代初めの頃、新聞のテレビ欄に〝カラー〟ウルトラマンと載っていた。でも当時ほとんどの家庭が白黒テレビで、銀色と赤で彩られたウルトラマンは見ていなかった。
夏休み、町会の回覧板でウルトラマンが近くの公園広場に来るとわかった。私は友達を誘って広場で待った。8月の暑い日だった。登場時間を30分過ぎてもウルトラマンは現れない。
主題歌が繰り返し流され、約200名の見物客がざわついている。「お待たせしました、ウルトラマンの登場です」。進行の女性の声でウルトラマンは出てきた。
ところが数名のスタッフに囲まれたウルトラマンが後ろのファスナーを背中まで開け、スタッフの1人が濡れタオルで後頭部を冷やす場面を見てしまった。しかもウルトラマンの手は普通の人の手だ。私は握手しようと出した手を引っ込めた。
光の国から来たウルトラマンがこんなにも暑さに弱いとは、これでは絶対ゼットンに勝てない。当時本当にそう思った。
肝月隆(66) 大阪市住之江区